バレエ団 モーリス・ベジャール追悼公演

モーリス・ベジャールの代表作と言えば『ボレロ』。
これを最初に見たのは映画『愛と哀しみのボレロ』のジョルジュ・ドン
やたらながーい映画だったけど、ラストだけはビデオで繰り返し見たな。
もう目が釘付けでね。
踊りの意味なんて分からないけど、
目に見えているのはダンサーの鍛え上げた肉体なのに、
何だろ、そこに魂が見えると言うか、
踊ると言う事を突き詰めちゃうと天界に近づいてしまう、
そんな衝撃を与えてくれたダンスでしたね。
今回のボレロも勿論良かったです。女性ダンサーのボレロもいいですよ。
中性的だけど、官能的。巫女なのか、いけにえなのか、上から降りてくるのか、下から上がって行くのか、
不思議な魅力に満ちていました。

宗教儀式のようなダンスは他の演目にもあって、
その名も『祈りとダンス』で、こちらはトルコの旋回しながらトランスする白装束のダンスが完全にモチーフになってましたね。

そして今日は『ベジャールを愛してくれた日本の皆様へ』と言う事ど特別に追加演目がありました。

音楽がかかってビックリ。
『ベニスに死す』のマーラー交響曲第5番
あぁ、この映画も繰り返し見たねぇ。
あの時から何年経つんだろう。
初めて見た時は自分が美少年に近い歳だったのに、いつの間にか死が近づいているあのおじさんの方に近いんじゃない?
若さと老い、美貌と醜悪、
何だか色々走馬灯のように駆け抜けて涙が出てきてしまった。

踊り終わったダンサーさんは集中して全てを出し尽したのか、
暫し中央セットの椅子から立ち上がれませんでした。

今日の演目の中ではこれが一番良かったです。

ダンスの奥深さを思い知らされた夜でした。