最後のボレロ


NBS 日本舞台芸術振興会
行ってきました。川口のリリアホールメインホール。
駅に直結していて、便利。
キレイなホールなんですね。知らなかった。


『最後』なんて言葉を聞いたら観ないワケには参りません。
1990年から103回も踊ってこられたということですが、
私にとっては『最初』で『最後』のボレロです。
本日は満員御礼。当日券もなしの大盛況です。


そんな事で舞い上がったせいなのか、チケットをもぎってもらって、
トイレに行って、さぁ座ろうっと思ったらそのチケットがない!
オマケに席番はっきり覚えていない。
開演時間は迫る。(汗)
もう恥かしさをこらえて、係の人に言いました。
『スミマセン、自分の席が分からないんです…』
『あっ、あのチケットかも…』
『あ〜コレコレ』
私、チケット切ってもらって受け取らずブンブン歩いて行っちゃったみたいです。
あ〜バカバカ!私ってば最後のボレロ見逃すところでした。
お騒がせしましてスミマセンでした。





本日のシルヴィの演目は
『two』と『ボレロ


twoは非常に実験的な感じ。
真っ暗な舞台に四角く白い照明が枠のように照らされています。
シルヴィはその中で、細く長い四肢を何か別の生き物のように動かします。
動いた部分ががその白い照明をかすめると、光がシュンっと移動して、
例えていうなら、コンサートとかでブンブン振る光りの棒の残像みたいな感じ。
アレを身体でやっているような…。
音もあまりなく非常にストイックなバレエで、
しかしとても印象に残る不思議なバレエでした。
タイトルの「two」が何なのか意味は全然分かりませんでしたが、
息を殺して見入ってしまいました。


ボレロ、云わずと知れたラヴェルのタータララララタッタララーのリズムで
シルヴィは舞台センターの真っ赤な円卓の上で前後にステップを踏みます。
舞台の周りには上半身裸、下は黒のタイツというシンプルないでたちの
男性ダンサーがこれまた赤い椅子に座ってグルっと四角く舞台を取り囲みます。


ボレロの何がこんなに沢山の人を魅了するんでしょう。
究極の肉体の芸術というと余りにも陳腐かもしれませんが、
鍛え抜いたダンサーが自分自身と向き合いながら、
あのリズムに合わせながら昇華していうくような気になってしまうんですね。
その昔、『愛と哀しみのボレロ』を見てジョルジュドンのボレロ
何が何だか分からなかったけど、素手で心臓をグッと握られたような
衝撃を受けたのを思い出しました。
ボレロを踊った女性ダンサーさんって他にもいるんでしょうか?
すっごいテクニックを披露するような作品ではないのですが、
実際これは大変体力を使う、選ばれた人にしか出来ない作品だと思います。
ベシャールの振りつけが素晴らしい。
普通の人があの前後に踏むステップ3分やったら太ももパンパンになっちゃうから。
その上、時々カクカクと止まったり、1メートル位飛んだり、脚を180度縦に上げたり
何か修行のような感じさえしてしまいました。
そして観客はその証人になっているかのような。
また、シルヴィの理想的な体型がこの作品の一部なんでしょうね。
音が半音上がるあたりからゾワゾワ鳥肌が立ってきました。
私が今、目にしているこの美しさは何だろうって。最後には泣けてきました。


踊り終わると割れんばかりの拍手。拍手。拍手。
カーテンコールは10回位やったと思う。
花束抱えてくる人が沢山いて、でもイヤじゃなかった。
全部の花束を大事そうに受け取ってました。
カーテンの後ろにはけるときクルって1回回転して引っ込むのが可愛い。
赤毛の長い髪がたなびいてステキ。


最後にお花を渡した人がシルヴィと堅くハグをしていて良かったです。
素直な表現でエライ。


舞台が終了してからも会場中がはぁーって感じにどよめいていました。
まだ全国ツアーが続きます。もう1回観たいなぁ。