モーリス・ベジャールを舞う


一旦は封印されたボレロが復活!
これを聞いて見ない訳には行きません。


やっぱり、凄かった。
鳥肌が立った。
ベジャールの振り付けの中でもボレロは特別。
今日の公演は絶対空からベジャールが見ているだろうと
確信できる完璧なボレロだった。
いや、いつも彼女は完璧なんだけど、
なんて云えばいいのか、そこに「愛」があったのです。
捧げ物のような、贈り物のような温かさがありました。


出だし、一筋のライトだけががシルヴィ・ギエムの手首をとらえ
て映し出します。その光が2本になり、左右の手を捕えます。
それがあの余りにも有名過ぎるボレロのリズムに乗って
手首から肘までとだんだん光の幅が太くなり、彼女の姿がだんだんとクリアに見えてきます。
ごくごくシンプルな振り付けなのですが、徐々に熱を帯びてきて
周りの男性ダンサーたちも巻き込んでいきます。
ボレロのあの半音上がるところあたりから畳みかけるような、
まさにカタルシスな舞にはいつも心臓がドキドキしてしまう。
今日は汗まで出てきました。
最後の昇天するような劇的な終わり方はまるでひとつの魂がちいさな死を迎えたかのようです。


カーテンコールは何度あったでしょうか?
6〜7回?
満面の笑みのシルヴィ・ギエムは円卓でボレロを舞っていた時とは
別人のような可愛い少女の微笑みです。
満足感でいっぱいというのがありありと分かります。
きっと天国のベジャールも喜んでいることでしょう。


あぁ、やっぱり彼女は特別なバレリーナだ。