オン・ステージ2007→ってベタなタイトルですなぁ


昨年ものすごーく感動した『TWO』という作品をもう一度見れるチャンス
という事で、チケ代高かったけど上野の東京文化会館まで行ってまいりました。
初めて訪れる会場なのですが、5階まで席があってバレエ・オペラ用なんですね。


会場に入ると今年の11月に星になったモーリス・ベジャール氏の
大きい写真が。沢山の白いお花が添えられていました。


写真にはボードレールの言葉で
おぉ、『死』よ、老船長よ、
時は着た!
錨をあげよう!


と言う詩が書かれていました。
亡くなる前によく口づさんでいた詩だそうです。
タイトルは『旅』


深いね。うん。
今もどこかを旅しているんだね。


ベジャール氏にゆかりの深い東京バレエ団、しかも
今日はシルヴィ・ギエム+上野水香という人気のダンサーさん出演で
その5階までビッチリと人が入っていました。


まずは上野水香さんのカルメン
水香さん顔小さいっ!コブシ大ですよ。本当に。
そしてあの長い脚。トゥシューズ履くから10頭身位に見える。
男性ダンサーを誘惑する時の目の色っぽさ。
テクニックはもう完璧ですからこれからは表現力が充実してくるんだろうな。
ますます楽しみです。
それにしても、いいなこぶし大。


本日はひたすらにシルヴィ・ギエムの肉体礼賛って目的だったのですが、
意外に『椿姫』が印象的でした。
アスリートと云われるほど*1鍛え上げられた
カラダにダンサーのもの凄い強いエネルギーを前回は感じていて、
どちらかというとパワー派という勝手なイメージだったのですが、
『椿姫』のあの舞は本当に死期が近づいているはかなげな女性って感じで
実にエアリーでふわーっとしていました。
もちろん、激しく愛を交わすシーンなどもあるのですが、
終わり間近の美しさが常に漂っていて驚きました。


それと180度違うのが『TWO』
人間の背中にこんなに色んな筋肉あるんだーっていう位。
薄暗い照明の中にその筋肉の隆起が浮かび上がって、
もうずーっと見ていたいくらい美しくてホレボレ。


『PUSH』では男性ダンサーと複雑なリフトを繰り返し、
呼吸するのも緊張するほどの静謐な空気の中30分も踊るのです。
『TWO』が人間シルヴィ・ギエムなら『PUSH』はアンドロイド・ギエムっていう感じ。
衣装もなんとなく5thエレメントのミラ・ジョボビッチみたいな感じ。
プラス、押井守映画の近未来サイボーグの雰囲気。
とても好きな作品になりました。
カーテンコールは何度も何度も7〜8回位あったでしょうか?
そこで見せる笑顔がまた可愛くてねー。
あぁ、また見に行こうっと。


今日は途中の演目で一つアクシデントがあり、
ダンサーという仕事の過酷さを思い知らされました。
痛い話ですが。
コミカルな群舞の『シンフォニー・インD』という演目の中、
男性ダンサー3人がジュテした瞬間、バチン!と音がして
真ん中のダンサーがガクンと沈み込みました。
コミカルな動きの多いものだったので『飛ぶの失敗したー』って
いう演出かと思いきや、幕間にサーッと引きづられ、
舞台にはしばらくダンサーさんが誰もいないという事態に。
あのバチン!という音、恐らくアキレス腱が切れた音ではないかと。
               →プリンシパルの大嶋正樹さん、左脛骨骨折だったそうです。
舞台袖からかすかにうめき声も聞こえてしまい、
身を固くしてしまいました。
しかしそこはプロ集団。
続きのダンスは続けられ、代役もすぐ登場。
立派にパフォーマンスをこなしていました。


会場を出る時に救急車が止まっていました。
身体で勝負している人の身体に何かあるってことは
本当に苦しいことです。
何も出来ないけれど、早い回復をお祈りしています。

*1:12歳で新体操のオリンピック候補