千年も昔から人間は変わっていない


小栗君に会いに行く時、ちょっと後ろめたい気持ちになるのはナゼなんだろう。*1
なんか、浮気相手に会いに行くような感じでいそいそ見に行ってしまう。
初めの出会いがね、衝撃的だったから*2
今日も何かを期待しているワタシ。何?カラダ目当て?


もちろん、その期待に大いに応えてくれました。
今でも、残像がチラつく…


ネタバレしてます。




2度目のさいたま芸術劇場。
駅からちょっと歩くのと、周りが寂しいのがタマに傷だな。
でも、劇場自体は好き。
中のスナックバーにも結構シャレたもの置いてるんだよね。シャンパンセットとかさ。


中に入って驚いたのは、いきなり衣装や小道具がロビーにあること!
えぇ?ハンガーに役者さんの名前も書いてある。
ひょっとして愛人(小栗君)の衣装もあったりする?ニオイも嗅げる?
…っと思いましたが、やはり彼の分はありませんでした。ガックシ。
そりゃ、イロイロ危険だもんね。


そして、ステージでは既に役者さんが舞台にスタンバって
『ハッハッ』と発声練習したりしています。
後ろから『20分前で〜す』と声が掛かったりして。


あっ、晴生パパもいる〜
なんだか今日はレオンなオヤジではありませんかっ!カッコイイ。
この間は尼さんだったからね(笑)
でも、愛人(小栗君)はまだステージにはいない。お預けかよ。チッ!


そして、いよいよ本番。
『そろそろ行こうか』と蜷川さんの声。


舞台はまばゆいくらいの白です。隣りの子パンフまだ読んでるし。
ニナガワ演劇はマイクなし。晴生パパちょい、セリフきついかな。頑張れ。
主役の日本のミスターシェイクスピア吉田鋼太郎さんはその名の通り、
鋼鉄のような強い強い声で圧倒的な存在感。


小栗君下手通路に登場。(席、下手寄りで良かった〜)
ひぇ〜上半身裸。下はバッサバッサする赤い巻物。
で、首に鎖。手に手錠。
髪の毛は銀色アッシュ。
浅黒い体にチェーンのような*3タトゥ。
セクシー過ぎるでしょ。それ、過剰サービスだから。


すみませんが、最初の方はセクシー小栗君をガン見してました。
間違いなく日サロで頑張って焼いたんだね。美しいよ。
しかも喋らなくて、捕らえられた役の為、持て余し気味壁に寄りかかったりして
ふてくされています。これ、下手最前列、心臓持たないなぁ。
ちょっと離れてて逆に良かった。


悪人役の小栗君=ムーア人エアロンの策略で、ヒドイ事が次々に進行していきます。
エアロンの汗と共にアドレナリンがステージにガンガン放出される感じ。
物語は悲惨、凄惨、陰惨、無残。
血が沢山です。
でもドロドロの血ノリではなく、血は赤いリリアンのような紐状のもので表現されています。
真っ白い舞台に、その赤が非常に映えます。
しかもやたらめったら赤いのではなく、その時に痛い部分が効果的に赤になる演出。


特に真中瞳さんの演じるタイタスの娘、ラヴィニアがムーア人の二人に非道い事をされ、
森の中をさまよう場面ではこっちの身体まで痛くなり、息が出来なくなる位でした。
真中さんのお芝居初めて観ましたが、とても良かった。
途中から話すことが出来なくなる役なのですが、
その時からの演技の方が深く胸に迫ってくるような感じでした。


ラヴィニアが森に入る前にエアロンが皇后タモーラと絡むシーンがあるのですが、
ここはやっぱりドキドキしちゃったよ。
タモーラ役の麻実れいさんが、ちょっとアッチの女王様みたいで。カッコイイ。
私、宝塚なら雪組と縁があるのかな。


後半、復讐が加速する前にちょっとしたハプニング。
アンドロニカス家の男子が、城に矢を打ち込む場面で、
一番小さな孫息子役の男の子の弓矢が上手くひけず、
最後手で投げてました。
で、その次ぎのセリフが『弓矢も上手くなったな』みたいなセリフで場内爆笑。
でもなんか爆笑するぐらいの反応が逆に良かったと思う。あ〜可哀想って感じにならなくて。
男の子は悔しかったかもしれないけどね。


小栗君はこの前*4よりもずっとずっと、鍛えられている感じがしました。
もちろんカラダも鍛えたのは間違いありません。(個人的にはもうちょい筋肉欲しいけど)
体力と共に俳優としても相当鍛えられたと思います。
目をひんむきながら、野蛮残虐な行為を舞台上に吐出す、そのパワーに惹き付けられました。
あの力を3時間の舞台で維持するのは相当なこと。まして今日は2回公演。
成長してるねぇ〜


そして、物語はいったい誰が生き残るの?という位に命が奪われ…
ローマ時代のお話がベースですが、観ながら思い浮かんだのは
地球のあちこちであいも変わらず繰り返されている紛争、戦争。
人間自体はそれほど変わっていないなと。
憎しみは憎しみしか生み出さない。
なので、ラスト、男の子がエアロンの赤ちゃんを抱きかかえて叫ぶ所に最も感動しました。


小栗君目当てで行って、しっかりニナガワ見せつけられました。
ロンドン公演があるそうです。この公演を世界の人が見てくれるってことが私も嬉しい。
いってらっしゃい。


そうそう、このお芝居、観客の大多数は女性なんですが
チラチラ居る男の人の質がとても高く、美形+インテリジェンスでそれも嬉しかったです。
これもニナガワマジック?


間違いの喜劇の時に取ったチケットで、ステージの生写真頂きました。
タトゥ姿の小栗君、電車の中でチラ見してたら、近くの男子にその姿を
見られてた。はずかし。

*1:誰に対して???

*2:『偶然の音楽』最前列。お尻ガン見

*3:ノエルさん日記によると蛇が絡み付いてる

*4:間違いの喜劇